『LET IT BLEED』に収められた "Live With Me" で初めてストーンズと共演し、70年の欧州ツアー以降長らくストーンズと活動を共にし、キースと誕生年月日まで一緒で、72年のUSツアー中にはキースと一緒にホテル10階の窓からTVを放り捨てたテキサス生まれのサックス奏者、 Bobby Keys / ボビー・キーズが1972年にリリースした現時点では彼の唯一のソロアルバム。
ジャケにはテキサス野郎らしくテキーラ Sauza を手にする Bobby。ちなみに彼のソロアルバムとしてはこの一枚だけですが、他にもシングルはリリースしています。

さて、わたしがこのアルバムの存在を知ったのは、2007年5月、掲示板にRSVPさんが名古屋での猟盤の釣果としてご紹介くださった時でした。なんとイージー・リスニング・コーナーに刺さっていたとか！その後アナログ落しのブートCDまでMid Valleyからリリースされ、わたしもそちらで音だけは聴いていましたが、やはりオリジナルアナログが欲しい！といろいろ捜索に。でも専門店では高過ぎたり、オークションでは高騰しすぎたり忘れてたりと、ごく数回のチャンスをモノに出来ず（笑）
足で稼いで激安で吊り上げたRSVPさんはさすがと脱帽〜。でも2008年8月、わたしも納得価格でUKオリジナル盤をゲットできました〜。ジャケはちょいくたびれてますが（笑）

→ その後2010年、もう一枚ゲットしたので写真差し替え！
実はこの盤、最初買ったのはUS盤だと思ってたんですが、その後UK盤として買ったものと全く同じ。ということでUSなのかUKなのかがいろいろ見てもよくわからないんですが、(P) 1972 A Warner Bros. USA Recording. Distributed by WEA Records Ltd. そしてSHOREPAK by Shorewood Packaging Co. Ltd. EnglandとあるからUK盤と判断しました。

さてこの盤、RSVPさんが掲示板でご紹介くださったとき、Silver Trainさんがそのレア度合いを次のように紹介くださいました。

> 95年7月パリ。VOODOO LOUNGEのオランピア劇場公演。
> 会場内で、馴染みのレコ屋の兄ちゃんに遭遇…どうやってチケット手に入れた？って尋ねたら
> "ストーンズのスタッフから電話でボビー・キーズのアルバムあるか？"って尋ねられ、"ある"って答えたら、
> スタッフと本人が一緒に買いに来て、代金とオランピアのチケットを置いていったんだよ、っていうくらいレアなんですよぉ！」

いやぁ〜本人も探すほどのレア盤でオランピアのチケットつきとはおそれいりました。でもSilver Trainさん、オランピア公演に参戦されたというだけで十二分にうらやましいです〜！

閑話休題。
このソロアルバムは Bobby のサックスをフィーチャーしたインストアルバムですが参加メンバーが最高です！正式なメンバーのクレジットは記載されてないので、はっきり特定は出来ないのですが、ネットで調べたところ George Harrison や Jack Bruce に Ringo Starr、そして Nicky Hopkins に Jim Price といったストーンズでもお馴染みさんから、Jim Gordon、Dave Mason などなど楽しそうな面子が大集合です。Eric Clapton も弾いていると書いているサイトもありますが、どうなんでしょう？クレジットについてはコチラである程度詳しく解説されています。というかこれ以上のクレジットはわかりませんでした。

さて、A-1ではご機嫌なギターから始まり、キーボードもこなす Jim Price と Bobby が見事に融合、A-2ではさらに爽やかご機嫌に。タイトルが怪しげなA-3ではその2人がさらに大活躍。A-4ではしっとりした曲調から見事に転換したり、B-2ではステレオドラムの中にどっしりサックスが構えたりと、Bobby のサックスを引き立てるバックも曲調も表情豊かでほんとに楽しめます！スワンプと一言では表現できないおもしろさ。そして勿論ブートCDよりも断然アナログレコードの音は自然で抜けもよくて爽快感倍増！いやぁ〜もう最高！！

それにしてもこんなに素晴らしい作品がレア盤になってしまったのは惜しいところ。こうした名盤は丁寧にオフィシャルCD化して欲しいですね〜。

そんなレア盤、たまに専門店で見かけてもちょい高額ですが、そうじゃないお店ではイージー・リスニング・コーナーにも要注意のようです〜！
なお、独仏盤には"Command Performanc"のバージョン違いが収録されているそうで、これまた要チェック！

[追記 2012年6月]
2012年、韓国BIG PINKよりめでたく帯つき紙ジャケでCD化されました。BIG PINK 197。下の画像の左の灰色部分は帯です。
ハーフ･オフィシャルっぽいですが、Mid Valleyが以前リリースした明らかなアナログ落しのブートCDとは異なり、目立つアナログノイズは一切ありません。とはいえマスターテープからかというとそうでもなさそうな音ですが。
まぁいうなればカセットテープのような音で、↓のYouTubeがまさにそのCDからの音。
ということでアナログには及ばない音質ですが、アナログはちょいと入手困難ですし、こうしてCD化されただけでもありがたいですね。限定盤とのことですが、未聴の方は是非！

[さらに追記 2012年8月]
2012年8月にUKらしきレーベルAURORAからもプラケース仕様でCD化されました。

『BOBBY KEYS』CD AURORA - [AUCD5025] ← amazon.jp

 

紙ジャケのBIG PINKとは違って、AURORA盤は普通のプラケースでわたしはこちらの方が好み（笑）
気になる音は微妙に違って、BIG PINKの方が重低音は出ていますがちとフォーカスが甘い感じで高音の伸びがイマイチ、一方今回のAURORAの方はそこまで重低音は鳴りませんが高域に爽快な伸びがあって自然な音です。
とはいえこちらも完璧なマスターからではなさそうな気もしますが、というか板起こしっぽいですがかなりいい音です。

しかーし、このAURORA盤のおかげでBIG PINK盤には思わぬ落とし穴があったことに気づきました。
AURORA盤はBIG PINK盤と共に同じ曲順表記ながらも、なんと中味を聴くと曲順が違うという（笑）
曲順の違いといってもインストだけに正しいタイトルなんてわかりにくいのに面倒な（笑）

わたしの持ってるUK盤アナログのクレジットと収録曲は正しいという前提で比べてみると、、、なんとBIG PINKのが違ってたんですね〜。AURORA盤は上記UK盤アナログと同じ曲順。ちなみにMid Valleyのブートも。

実はBIG PINK盤に収録されている曲は、UK盤アナログの表記が正しいとしてちゃんと表記すると、
1. Steal From a King
2. Smokefoot
3. Crispy Duck (B3(7))
4. Bootleg (A3)
5. Altar Rock (A4)
6. Key West (B1(5))
7. Command Performance (B2(6))　←カウント入り
8．Sand & Foam
になるのかなと。かっこ内はUK盤アナログと今回のAURORA盤でその曲が収録されている位置です。
でもBIG PINK盤の"Command Performance"にはアナログやAURORA盤には入っていなかったカウントが入ってるというポイントはあり。

ややこしいですが、BIG PINK盤では"Crispy Duck"として7曲目に入ってる曲（"Command Performance"）のこと。つまりBIG PINK盤もアナログ落としではなさそうだということですね。（追記：そうとは言い切れないのがフランス盤で判明）
いやしかしインストという事情があるにせよ、今回聴き比べるまで気づかないとは（笑）

ということで、CDではそのカウントのことは置いておくと、曲順もあってて音の抜けもいいAURORA盤が一番じゃなかろうかと。
ちなみにジャケ裏やトレイ下やディスクは独自のデザインが使われてます。

しかし2012/8/22にVIVIDからBIG PINK盤の日本仕様がリリースされますが、果たしてどうなる･･･？
追記）発売直前でしたがdiskunionに問い合わせてみたら、メーカー側で調査いただいたとのことで、結果やはり入れ替わっていたということがわかったと。
すでに予約分は発送されていたそうですが発売延期となり、あらためて曲順が修正されたCDに差し替えられました。めでたしめでたし。

その後AURORAからはアナログもリリースされました！
オリジナルは見かけてもまだそこそこ高いですから、アナログでも聴いてみたいという方には嬉しいリリースですね！
● 『BOBBY KEYS』LP AURORA← amazon.jp
 

[追記 2013年1月]
そしてこちらは2012年の年末にポチッた盤で、ようやく手にした『BOBBY KEYS』のORGフランス盤アナログ。
ドイツ盤とフランス盤はコーティング・ジャケかつ"Command Performance"は別テイクが収録されているという情報を以前すろーはんど M谷さんに教えていただいて以来、探しておりました！
コーティングジャケの撮影は難しいのでコレでご勘弁（笑）

そして届いたフランス盤を再生してみると、、、なんと！ジャケットやレーベルに表記されている曲目曲順はUK盤と同じなんですが、これまたあのBIG PINKの復刻CDと同じく、実際に収録されてる曲順は違うやんけ〜！（笑）
なんとこのフランス盤、そのBIG PINKのCDとまったく同じ曲順。さらに"Command Performance"にカウントが入ってるところまで同じ。

となるとBIG PINKのCDは実は正しかったという可能性も捨て切れませんが、BIGPINKの日本仕様のVIVIDレーベルがリリースされる際に問い合わせたら、調査の上でUK盤の収録順に修正されたので、やはりこれは1972年のアナログ発売当時からマスターテープの入れ違いがあったということなんでしょうね〜。
いやぁ〜面白い事実がわかってよかったです。

となると残るドイツ盤も安く見つければ欲しくなってきますが、きっとこのフランス盤と同じなんでしょうね。
そしてBIG PINKのCDは、このフランス盤もしくはドイツ盤からの板起こしの可能性も否定できないという。

あ、このフランス盤はUK盤と違ってコーティング・ジャケです。ドイツ盤も。

音はUK盤と比べるとこのフランス盤は重量厚みなどは変わらないようですが、フランス盤の方が入力レベルがちょい大きくて、重心が僅かに低く音圧があります。
でもサックスの響きはUK盤の方がちょっと心地よいといった感じですね。どちらもお気に入り！

●フランス盤 『BOBBY KEYS』 K 46141
（ジャケとレーベルにはUK盤と同じ曲目曲順が表記されていますが、これが実際に収録されている曲順）

・face A
1. Steal From A King
2. Smokefoot
3. Crispy Duck
4. Bootleg

・face B
1. Altar Rock
2. Key West
3. Command Performance　←カウント入り
4．Sand & Foam 
 

日本時間の2014年12月3日、ボビー・キーズ逝くの訃報が。。。
もうボビーの演奏を生で聴く事は叶わなくなってしまった。。

でもボビーのソロ、Let It Bleed、Sticky Fingers、Exile On Main St.、Goats Head Soup、
Emotional Rescueやライブアルバムなどに彼の名演は残されている。

長い間ありがとうございました。安らかにお眠りください。

R.I.P. Bobby Keys  1943/12/18 - 2014/12/2

"BOBBY KEYS" - signed autograph with sax mark on Mar.6, 2014.
Thank you for your kindness...

Bobby Keys at Circus Maximus, Rome, Italy. 2014/06/22

[追記 2015年11月]
ワーナーからも名盤探検隊シリーズとして『BOBBY KEYS』 CDがリリース。



写真は、左上が最初にCD化された韓国BIG PINK盤、右上はその日本仕様盤VIVID。
そして左下が英AURORA盤で、右下が今回のワーナー盤。

● 『BOBBY KEYS』 ワーナーCD ← \1,234@amazon.jp

曲順や音の違いはこのページで紹介しているとおりですが、今回こそアナログ起こしではないマスターからか？と期待してみると、、、
ところどころで音が濁ったりしているところは既発と同様で、音の感じからするとやっぱり板起こしの曲もあるっぽいです。
でも72年に日本盤アナログをリリースしたワーナーからこうして激安でリリースされるというのは嬉しいですね。

音の感じは中高音の音の抜けはよく、低音は強すぎることもなく、既発ではAURORA盤に近い感じです。
じゃあAURORA盤とどっちがいいかとなれば難しいですが、このワーナー盤の方がクリアな曲は断然クリアです。（そうでもない曲もあるんですけど）
そして音の太さがちょい違うんですが、これは針の違いのような感じですね（笑）

と書いてましたが、有賀さんのtwitterによると、「当時日本に届いたマスターテープ蔵出し」だそうです。
板起こしっぽく聴こえるところはダメージなのあかな。

ちなみに"Command Performance"にはカウント入り。
でもカウント入りといえばの仏独アナログやBIG PINK盤CDのように、曲順がおかしなことになってたりはしません（笑）
ちなみにBIG PINKの日本仕様で曲順が修正されたのは、わたしが問い合わせた結果だったりします。

いやしかし今回のワーナー盤、日本語解説も付いてこの音質で激安でのリリースは快挙ではないでしょうか！！

Bobby, we miss you!!